脱却のカギは地図でした

地図記号の役割とは?

地図は、絵画ではありません。

情報を伝達するメディアであり、極端な言い方をするならば、インターネットが生まれる以前の時代には一つのマスメディアのような機能も持っていたようなものです。

アートのように、描く人間だけが分かるようなニュアンスが含まれていると、読む人間に誤解やストレスを与えてしまい、本来の役割を果たすことが出来ません。

つまり、描く人間と読む人間の間で「共通の認識」が無ければ、地図は地図として成立しないのです。

なので、地図には世界的に共通する投影図法が使われたり、図像的な情報だけでなく文字情報も書き込まれます。

そして、その共通認識のなかでも、もっとも顕著に伝達の役割を果たしているのが「地図記号」です。

地図は、その地域の面積・距離・方角のみならず、基本的な施設の情報、土地の特徴、風土のような情報も書き込むことで完成されます。

しかし、どうしても紙と言う限られた空間に情報を入れなければならないため、全てを文字で表現することは難しいです。

そのため、学校や市役所といったようなよくある施設に関しては、記号化することでよりシンプルに分かりやすく誇張して表現します。

地図上に文字が多くなると、かえって情報がつぶれてしまうおそれがあるため、地図というのは基本的に記号表現の多いメディアであると言えます。

また、地図記号というものは時代の進みとともに少しずつ新しい表現が増えているものでもあります。

例えば、2002年には図書館と博物館の地図記号が、2006年には老人ホームと風力発電書が地図記号として新たに加えられました。

実は2006年に加えられた2つは、一般公募によって決まった記号であり、しかもその応募者は小中学生であったようです。

このように、新たな世代が新たな表現を作っていく、という意味で、地図というものは常に成長していくメディアであると言えますね。

目立つ建物等の地図記号

実際に地図を見て移動する際、まず自分がどこにいるかを知る事から始まると言えるでしょう。周りを見渡し、地図記号と照らし合わせる事で、高い建物や煙突、山などの方向を確認でき、位置を知ることができるようになるでしょう。

・高塔

東京タワーのような塔を頭に浮かべてください。これを空から見ると、高塔記号と似た形になるのが解るでしょう。展望台にも同様の記号が使用されています。

・記念碑

像や記念碑などが設置されている場所に使用される記号でしょう。昔からよく目にしていた石の記念碑の形と、その影をイメージして表現されているようです。注目されている場所や有名な記念碑のあるところに使用されているようです。

・煙突

煙突から煙が出ている様子がよく表現されているでしょう。昔はよく町の中でも煙突を見かけることがあったようですが、地図記号は、そういった小さな煙突には使われず、遠くからでも見えるような大きな煙突があるところに使用するようです。記念碑と同様、影がついているでしょう。

・電波塔

テレビやラジオの電波を飛ばす電波塔は、電波が飛んでいる様子を表現する波とアンテナを表す円とが、くっついて記されているのが解るでしょう。見た目は音符のような形をしているのが解るでしょう。現代社会には欠かせない場所といえるのではないでしょうか。

・油井/ガス井

油やガスは、地下の深くから採取されるようです。昔そういった形で使われていた場所でも、今はガスや油が採れない所にはこの記号は表示されず、現在使用されている箇所にのみ表示されます。デザインは井という文字に似ているでしょう。

自然の地図記号

地図作成でかかせないのが地図記号です。

そもそも地図作成以前に地図の具体例を思い出せない方は、ここなどから例を確認できます。

地図上には、建物や道路を示すだけでなく、畑や木の記号も存在し、その土地で何が栽培されているか、また、どんな木があるのかを読み取ることもできるでしょう。実際に場所を訪れなくても、地形図から知ることができると言えるでしょう。この記号は、単体で使用することは珍しく、土地の中に同様の複数の記号を使用することが多いでしょう。

日本では、農業で行われている植物は限定されているのはご存知でしょうか。米を育てている地域が多いため、田の記号が見られる事が多いでしょう。また、桑畑はあまり見かけることは無いのではないでしょうか?

昔の日本では、絹糸を外国へ輸出していたため、カイコを育てる桑畑が大量にあったようです。茶畑も同様に、今では減少しましたが、外国へ輸出するために広い畑がたくさんあったようです。地図作成では、自然の表示された記号を見比べるのも楽しいかもしれません。

・田

水田などを示しており、稲が刈り終わった際のイメージを記号にしているようです。畳の材料であるい草や、ワサビ等も田んぼで育てているため、同様に表示されているでしょう。同じ土地を使い、使用目的を畑と田で季節毎に変更している際も、田の記号で示しているようです。

・畑

野菜など、農作物を育てている畑に記されているようです。双葉を表現していると言えるでしょう。イメージの通りにVの字で示されている記号でしょう。麦や牧草などを扱う土地にも使用されているようです。

・果樹園

林檎、葡萄など、さまざまな果物を育てている土地は、果樹園と呼ばれています。林檎の形をモチーフにした記号が使用されているのが解るでしょう。

・桑畑

桑は、絹の糸を作るためのカイコの餌となる植物でしょう。桑畑には、桑の樹木を横から描いた形をイメージして地図記号が表現されているようです。

・茶畑

お茶を飲む際、使用するのま葉っぱの部分であり、お茶には丸い実がなると言います。多くの実がなっているため、普段目にする姿ではない、3つの小さな丸を並べて茶畑を表現しているようです。お茶の葉で有名な静岡の地形図には、この地図記号を多く見ることができるでしょう。

・広葉樹林

葉っぱの形が表現されているのが解るでしょう。いつも生活の中で見かける多くの木が、この記号で表現されているでしょう。木の高さが2m以上でないと使用されないようです。並木道の木を描ききるのは大変ですからね。有名観光地や、目印となるような場所に使用されているでしょう。

・針葉樹林

杉や松の木の葉のような尖った形を表現しているのが解るでしょう。広葉樹林と同様、高さ2m以上の木が生えているところに使用されているでしょう。

・他の樹木畑

食物を直接栽培する以外の目的で木が育てられている場所には、丸が描かれた地図記号を使用するようです。山や広場などに植林し、これから育てていく場合にも使用しているようです。

・竹林

竹の密生している林や、山に使用されるでしょう。形は、竹を描いた形が記号になっているのが解るでしょう。

・荒地

建物がなく整備されていない土地には、雑草や砂利で覆われていたりと、荒れている場所でしょう。そのため、牧草地は荒地ではなく、畑の地図記号で記されているでしょう。