主題図を構成するデータには、定量データと定性データとがあります。定量データは統計と相性が良く、その多くが地域統計であるのが一般的です。このタイプの主題図としてよく見られるのは、絶対図や相対図でしょう。絶対図は人口や生産高といった定量データを、円グラフや棒グラフで表現したもので、相対図は単位地域の面積を基準とした相対値を表現したものです。
 主題図がこうした定量的地図なのか、それとも定性的地図なのかは、簡単に分類できるとは限りません。例を挙げてみましょう。農業にまつわる地図は沢山ありますが、その中でも土地利用の有様を示した土地利用図や、単純に農業地帯の区分を示した地図は一般に普及しています。土地利用図を見れば、その地が水田なのか、畑なのか、茶園なのかが一目で分かるようになっていますし、農業地帯図を見れば、綿花地帯やトウモロコシ地帯の場所が分かります。これらの農業用地図はその性質上、基本的に定性的地図に分類されますが、そこに単位地域の特定農産物の生産高等が書き加えられた場合、定量的性質をも帯びることになります。実際、1ヘクタール当たりのコメの収穫量等が、地図の模様別に描きこまれていたりします。
 主題図の下位カテゴリーは、そこで示されるデータの種類によっても分けることができます。ここに言うデータの種類とは、点データ、線データ、面データといった類別です。これらのデータのどれに軸足を置くかによって、各主題図は点データ地図、線データ地図、面データ地図などと呼ばれます。もちろん別の下位カテゴリーとの組み合わせも発生しますから、それらを掛け合わせた数の種類が生まれることになるわけです。