これまでは印刷物の大半が単色刷りで、たまに多色刷りのものが作成されるという有様でした。しかし最近はコピー防止を目的として、2色刷りが増えてきています。単色刷りに比べて表現の幅が広がることから、地図作成においても2色刷りに関する知識は蓄えておくべきでしょう。単色刷りの地図に比べてメリットばかりが先行して議論されがちですが、実は2色刷りにもデメリットはあります。例えば、色覚障碍者に向けた配慮がなされないまま、作成してしまう人がいます。単色刷りであれば黒以外が用いられることはありませんが、2色刷りの場合、主題によって使われる色は様々です。裏を返せば、多くの色の中から任意の色を使うことが出来るのですから、色覚障碍者の方でも読み取れるような彩色を心掛けるべきです。色覚障碍者の方は一般的に、青系統の色を識別し易い傾向にあります。赤系統の中では、明度の高い色なら読み取れたりします。2色刷りに挑戦する人は、ぜひこうした配慮を忘れないようにしてください。ところで地図の全体を見渡した時、2色刷りの最も効果的な配色は、ベースマップを黒で彩色し、主題部分にもう一つの色を使うケースです。地図記号の彩色については、地図の種類によって適切な方法が異なるため、それぞれのケースごとによく吟味して作成しましょう。